>娘夫婦と宮島へ

10月に広島県の宮島に車で行きました。宮島には行ったことがなかったのですが、娘の夫が能楽師をしていて宮島で行われる観月能の行事に出演するというので、宮島観光も兼ねて観に行きました。ただ車で行くと思ったより時間がかかったので、宮島に着いたのは夕方遅くになりました。そのため、着いてすぐお能を観に行って帰って来てお風呂に入って、翌日はそれぞれ用事があったので朝食後すぐに出発したので、宮島観光はほとんどできませんでした。

観月能の行事は夕方から始まる予定だったので、ホテルで夕食を食べる時間がないため、宮島にわたるフェリーに乗る前に早めの夕食を食べることになりました。ところが皆初めての場所なので、どこにどんなお店があるのか分からずウロウロしました。結局スマホで全国チェーンの回転すし屋を見つけて、そこで夕食にしました。海辺なので何か特別なメニューがあるかと期待しましたが、ごく普通の品揃えでした。

宮島のホテルに着いて荷物を下ろした後、すぐに観月能の会場に向かいました。会場といっても厳島神社の一角で行われるので、参道を歩いて神社の入り口に向かいます。もう薄暗くなりかけていたので、参道の灯篭には灯りがつけられて、なんだか別世界に来たような感じです。鹿もあちらこちらで休んでいて、宮島に来たことを実感しました。

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厳島神社に入ると、寝殿造りというのでしょうか、能舞台のあるところまで長い渡り廊下が続いています。その渡り廊下には朱色の欄干がつけられて、一定の間隔でぼんぼりのような灯りがほのかに揺らめいていますが、電気の灯りは唯一トイレのところだけ。大勢観に来ている人が歩いているのですが、なぜかしんとした感じで、まるで平安時代にタイムスリップしたような不思議な気持ちになりました。席に着くとやがてお能が始まり、出演者たちが出そろいます。能舞台と私たちの座っているところとは少し離れた所にあります。

いよいよ始まると思ったころ、何やら大鳥居のある海の方からざわざわと音がします。ふと見てみると、能舞台と客席の間に潮が次々と押し寄せてくるではありませんか。しばらくすると、舞台と客席の間は海水で満たされ、まるで舞台が海に浮かんでいるようになりました。旅行に出る前、観月能と言うけれどなぜ満月の前の日にするのかと思いましたが、当日は大潮でしかも1年で一番干満の差が激しい日だったのだと納得しました。幽玄の美と自然の不思議を目の当たりにして、とても感動した夜でした。

主人の運転する車で宮島に行きました。宮島は基本的に車での観光を禁止していますが、ホテルはフェリー発着所に近く、また駐車場もあるということなので、車で行くことにしました。自宅から広島までの道のりは思ったよりも遠く、やっと宮島行きのフェリー乗り場にたどり着いたのが夕方近く。早めの夕食を食べてフェリー乗り場に急ぎます。

まずチケットを買わなければとチケット売り場を探すのですが、案内の看板はあってもそれがどこか分からずにウロウロ。おまけに車を停めたところがいけなかったらしく、そこにいたおじさんに怒られてしまいました。やっとチケットを買ったのはいいのですが、今度はどこで船を待てばいいのか分かりません。並んでいるのは人ばかりです。係員の人も見当たりません。とにかく船のありそうなところを見つけて聞いてみると、「今出たところだから、ここで待っていて」と言われたところは車がやっと2台停められるくらいの狭い場所でした。フェリーに乗ったのは、うちの車と軽トラックの2台だけでした。フェリーといっても車が2台しか乗れない、人間用の連絡船だったとやっと気がつきました。